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| 線維筋痛症のテキスト
2ヶ月前に注文していた線維筋痛症のテキストが届きました。"Fibromyalgia & other Central Pain Syndromes"アメリカを中心にイギリス、スウェーデン、スイス、イスラエル、メキシコ、カナダの43人の研究者の共同執筆のこの本は、線維筋痛症に関する論文を纏め上げたもので、線維筋痛症に関する初めての教科書といえるでしょう。415ページ35章で構成されるこの本の内容は、線維筋痛症の歴史から始まって疫学、この病気のコンセプト、検査法、各種のCentral
Pain Syndromeの各論と続く内容豊富なものです。
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顎関節症と線維筋痛症 ほとんどの場合、顎関節症は急性期を過ぎれば徐々に症状が落ち着いてきます。しかし、なかには慢性化重症化の道をたどるケースがあります。私はこのような重症例を中心として治療しているのですが、慢性化するケースと軽症で終わってしまうケースとは臨床症状がかなり違います。どのようなケースで顎関節症が慢性化重症化するかについては、様々な研究が行われてきています。そして徐々に予後の推定法が確立しつつあります。最も有望なアプローチは顎関節症と多発性の筋筋膜痛症候群や線維筋痛症とのかかわりからの研究です。 ワシントン大学のRhodusらの報告によると線維筋痛症患者の67.6%に顎関節症の症状が見られたという事です。顎関節症の平均的罹患率は約20%なので67.6%の罹患率はかなり多く、顎関節症と線維筋痛症が合併しやすい疾患であることが分かります。それ以外にも舌痛症、口腔乾燥症などの口腔に関係した症状が、線維筋痛症では多く見られることも報告されています。 また、ニュージャージー医科大学のRaphaelらの報告によると、線維筋痛症との関連を示唆するような全身に広がった痛みのある顎関節症では、顎関節症治療に一般的に使用されるスプリントは効果がないとのことです。 また、ミシガン大学のKorszunらは線維筋痛症または慢性疲労症候群の患者および療法の疾患を合併している患者を調査し、42%が線維筋痛症や慢性疲労症候群の発症以前に顎関節症の診断をされていたことを指摘しています。 これらのことから重症化する顎関節症では、線維筋痛症との合併を起こしている疑いが指摘されています。 私の医院では殆どの患者さんが慢性化した重症の顎関節症なのですが、アメリカリウマチ学会の線維筋痛症診断基準で調べてみると、多くの患者さんが線維筋痛症であるか、その手前の状態であることが判りました。私自身の調査でも、顎関節症の重症化に線維筋痛症が深く係わっていることは間違いないと考えられます。むしろ、咬合治療が線維筋痛症に効果があることを考えれば、線維筋痛症は顎関節症の重症化したものと考えた方が良いと考えられます。 |
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線維筋痛症と不登校 現在日本には約14万人の不登校児、生徒がいます。何故不登校になるかは多くの事情があるでしょうが、線維筋痛症は不登校の問題にも大きな関係を持っているようです。 線維筋痛症の特徴は全身に広がる絶え間ない痛みですが、それ以外にも強い倦怠感、抑うつ気分、記憶力の減退、集中力の減退などの様々な症状を伴います。成人でも線維筋痛症になると仕事を続けることは難しくなりますが、児童生徒が線維筋痛症になった場合は学業を続けることは大変難しくなります。血液検査やMRI ,CTなどでは異常が見られないために、線維筋痛症では診断名が決まらないことが多いのです。まして児童生徒は自己表現が未熟なために、線維筋痛症に罹患したとしても病名が決められない可能性は、成人の場合よりずっと大きくなります。 日本医科大学小児科の調査によると、小児科で治療している不登校児の70%に線維筋痛症が見つかったそうです。厚生労働省の調査によると、不登校の原因は「不安などの情緒障害」26.1%、「無気力」が20.5%となっていますが、この二つの症状は線維筋痛症に典型的に見られる症状です。 上にも書いたように、顎関節症やかみ合わせは線維筋痛症に深い関係が有ります。子供たちの顎の発育が悪くなって、咬み合わせの悪い子供が増えてくると、顎が原因で不登校に陥る子供たちが増えるのではないかと心配されます。この問題に、もっと積極的に取り組む必要が有ると考えられます。 |
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私の医院での線維筋痛症の治療成績 治療前の診査に、線維筋痛症の診断基準を使うようになって、1年半になります。それ以前にも、全身の慢性疼痛、疲労感、嚥下時の違和感、朝の体のこわばり、睡眠障害、集中力の低下などの症状を持つ患者さんの治療は経験していましたが、自分が治療しているのがどんな病気なのか明確でなく、どうもすっきりしない気分でした。「不定愁訴」や「自律神経失調」ではあまりに漠然として、科学的ではないですから。 振り返ってみると全体の30%近くは、線維筋痛症の診断基準に合致していたように思います。診察した患者さんの症状の程度は、つらいながらも日常生活が送れる患者さんから、ほとんど何年も寝たきりに近い、常に介護が必要な状態まで様々でした。 このような症状をどのように表現すればいいのか困っていたのですが、線維筋痛症の診断基準を取り入れてから、とてもまとめやすくなり、治療の経過もすっきりと記述できるようになりました。治療法の評価が明確になり、その結果、治療テクニックが進歩しました。その上、線維筋痛症の神経生物学的研究を調べた結果、トリガーポイントを参照して顎位を決める私のテクニックが、神経生物学的にも根拠があることを知り、その線維筋痛症に関する神経生物学的知識を応用して、治療成績を向上させることも出来ました。 2004年度は5名の線維筋痛症患者さんの治療を経験していますが、4名で痛みと倦怠感が消失、1名はときに痛みや倦怠感があるものの、以前とは比較にならないほど軽くなり、薬物療法に比較して格段に良い結果が得られています。 治療開始前には、5名中2名は就業しているものの、続けることが出来そうもない状態でしたが、現在は仕事を続けることに不安はないと語ってくれています。残り3名は治療開始時には仕事を止めていましたが、現在は働く自信が出来たとのことで、治療担当者としてうれしい限りです。 このような結果が得られたのも、線維筋痛症の知識を取り入れて、治療テクニックの改善ができたからだと思います。
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