コラム

頭痛・顎関節症・腰痛・線維筋痛症などの筋筋膜性慢性疼痛への新しいアプローチ

コラム 「咬み合わせでおきる微熱」

 咬み合わせが悪くて体調を壊している方には、微熱が続いたりおなかを壊しやすかったりします。そういった症状は咬み合わせを治してゆくと比較的スムースに消えていきます。咬み合わせが悪いと微熱が出る理由はまだ証明されていませんが、おそらく白色脂肪組織中のUCPによるものではないかと考えています。
 もともと咀嚼運動をすると体温が上昇します。この現象は食事誘導性熱産生と呼ばれていて、食物を消化吸収するのに役に立っているのですが、その仕組みについて長い間不明でした。マイクロダイアリーシス法の開発で、生きたままで実験動物の大脳中の各種化合物濃度を測定できるようになり、謎が解けてきました。
 咀嚼運動をすると、歯根膜や咀嚼筋中の固有感覚受容器から中枢に向かう神経の信号が増えます。これらの求心性信号は三叉神経中脳路核に伝えられ、後部視床下部結節乳頭核のヒスタミンニューロン系を活性化させます。信号はさらに満腹中枢である視床下部腹内側核へ伝えられ、摂食運動をコントロールするための情報として使われます。一方、活性化されたヒスタミンニューロン系は交感神経性のヒスタミンニューロンによって、内臓や白色脂肪組織中のUCP2の熱産生を増加させ、体温を上昇させます。
 動物の体温調節は筋肉からの熱ではなく、UCPによる非ふるえ熱産生が主な働きをしていますので、口腔内の感覚器の体温調整に関わる影響は、元来大きいものです。
 かみ合わせの不調によって微熱がおきる現象も、多分このメカニズムに関係しているのでしょう。